カーポートやガレージのリフォーム!スペース拡張やビルトインも可能
ガレージは大切な車を風雨や不審者から守る役割を果たします。ガレージが老朽化して雨漏りをしたり、あるいは車の台数が増えたときなどは、ガレージをリフォームするのが良いでしょう。
ガレージには種類がいくつかあり、それぞれデザインや機能性が違いますので、住宅の構造や前面道路との位置関係、家族の形態などに合わせてリフォームすると、使い勝手が良くなります。
今回は、ガレージのリフォームを成功させるポイントや費用の相場を中心にご紹介します。
◉ガレージの種類とメリット
まずガレージの種類とそれぞれのメリットについてお伝えします。車を長時間駐車させておくスペースのことを総称して「駐車場」と呼びます。少数の車をとめるスペースのことを「ガレージ」と区別して呼ぶこともありますが、一般にはそれほど厳密に使い分けて表現されているわけではありません。
カーポート
住宅敷地内に屋根や柱などを取り付けた簡易車庫のことで、壁はありません。柱の設置場所により3つのタイプがあります。
両側支持タイプ
駐車スペースの両側にある柱で屋根を支えているため、強度があり安定しています。
片流れタイプ
左右どちらか片方に柱があるタイプで、狭い敷地にも設置しやすくなっています。以前は大雪が降り積もった日に強度面で不安がありましたが、現在は強度の高いタイプが数多くあります。
後方支持タイプ
後方の両側に柱があるカーポートです。柱を後ろへ移動させたことで、柱を気にすることなく車の出し入れをすることができます。
独立型ガレージ
住宅の建物とは別の場所に設けられた個室タイプのガレージです。紫外線や風雨などから愛車を守ってくれるほか、防犯性にも優れています。
ビルトインガレージ
建物内部に設けられた駐車スペースのことを「ビルトインガレージ」といいます。建物の1階をガレージにして、2階以上を居住空間にしたタイプが多く見られます。室内から出入りできるように設計すれば、雨に濡れることなく、人や荷物の移動をスムーズに行うことができます。開口部が大きく、木造住宅の場合は耐震性を強化したほうが良いでしょう。
掘り込み式駐車場
目の前の道路より1~3メートルほど高くなっている土地の一部を掘り、ブロックやコンクリートなどで周囲を固めた駐車場です。坂道の途中でよく見かけます。駐車場上の土地に家を建てたり庭にできるので、敷地を有効活用できます。駐車場から一階の室内にそのまま上がれるような設計も可能です。
地下車庫
地下1階の天井が地盤から1メートル以下のところにあるスペースに造られたガレージです。コンクリートやブロックで造られることが多いため、耐火性や耐久性が高く、排気音が外に聞こえにくい点がメリットです。地下から1階へ直接上がれるタイプが大半なので、防犯性やプライバシー保護の観点でも優れています。
◉ガレージをリフォームするときの注意点
カーポートを取り付けたり、新たにガレージを建てるとき、自宅なのに法規制の対象になることがあります。リフォームする前に知っておくべき注意点をご紹介します。
屋根のある駐車場は「建築物」
建築基準法では、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの」は建築物にあたると定められています。自宅の敷地内にガレージを造る場合であっても、屋根がある場合は建築物扱いとなるため、リフォーム前には事前に役所などへ「建築確認申請書」を提出し、法律や条令に適合しているかを確認する必要があります。また、地面に固定された車庫を造る場合は「家屋」と認定され「固定資産税」の対象になることもありますので注意しましょう。
リフォーム前のチェック事項
ガレージは自宅の敷地内であっても、建築基準法などで定められた項目を満たさなければ建てることができません。そのため、屋根付きガレージを建てることを考えている人は、下記ポイントを事前にチェックしておきましょう。なお、「建ぺい率」と「容積率」は地域によって異なりますので、詳しくは各地域の役所でご確認ください。
建ぺい率
建ぺい率とは「敷地面積に対する建物の建築面積の割合」のことです。建ぺい率は「建築面積÷敷地面積×100(%)」で算出することができます。カーポートやビルトインガレージも建築面積に含まれますが、地下車庫であれば建ぺい率の制限を受けずに済みます。
容積率
容積率とは「敷地面積に対する延べ床面積(建物の各階の床を合計した面積)」のことです。ガレージを新たに建てる場合は、都市計画法で定められた容積率を超えないようにしなければなりません。容積率は「延べ床面積÷敷地面積×100(%)」で計算することができます。ビルトインガレージの場合は、延べ床面積の5分の1以内までであれば床面積に含まれないとされています。
採光
採光とは、太陽や月の光などの自然光をガレージ内に入れることです。建築物には、採光が可能な屋根・出入り口を床面積の7分の1以上設けることが法的に定められています。
用途地域
「防火地域」「準防火地域」「法22条地域」といった特別な地域にガレージを新たに建てる場合は、その構造に制限がかかります。
例えば、建物が密集している「防火地域」の場合、建築物は鉄筋コンクリートを使用した「耐火建築物」にする必要があり、「準防火地域」の場合、3階建ての建築物は「耐火建築物・準耐火建築物」にする必要があります。また、「法22条地域」の場合は、建築物の壁や屋根に鋼材などの不燃材料を使用しなければなりません。
地区計画
美しいまちづくりの実現のため、市区町村によって建築物に関するいろいろな決まりがあります。容積率、敷地面積、高さ、形態、用途などは市区町村でそれぞれ異なります。ガレージをリフォームする際は、お住まいの地域の地区計画に沿って行いましょう。
仕様規定
建築基準法で定められている建物の構造規定のことです。積雪荷重や柱などの太さ、基礎コンクリートの寸法などさまざまな仕様規定があります。
◉ガレージにあると便利な機能
ガレージの使い勝手を良くする便利な機能をご紹介します。
照明
おしゃれな照明を設置すると、愛車がもっと素敵に見えるもの。一般的な蛍光灯でもいいですが、室内の天井に備え付けられている「シーリングライト」や、スタジオのようなスポットライトなどを設置してみてはいかがでしょうか?スポットライトならハロゲンランプが力強い明るさで人気です。照明には寿命の長いLEDを使うのが良いでしょう。また、「人感センサー」を設置すると、消し忘れがなく便利です。
収納棚
ガレージ内に洗車用品や工具、予備のタイヤなどをしまえる収納棚を設けると、整理整頓に役立ちます。洗車や修理だけでなく、冬のタイヤ交換時にも役立つでしょう。柱と屋根から構成されるカーポートにも、収納棚を設置できるタイプがあります。
コンセント・水栓・排気装置
ガレージ内やガレージの近くにコンセントや水栓があると、洗車や車内の掃除をするときに便利です。この際、庭仕事など別の用途にも使用できるように設置場所を考慮すると良いでしょう。また、ガレージに換気扇や排気ダクトを取り付けると、排気ガスやタイヤ特有の臭いがこもるのを防止することができます。
クッション材・タイヤ止め
免許を取得したばかりだったり、ガレージが狭いという場合は、柱や塀にクッション材を取り付けておくと、車庫入れのときに少しくらい擦っても愛車に傷がつかず、安心です。加えて床にタイヤ止めを設置しておけば、車庫入れ中の事故防止につながります。
◉ガレージのリフォームを成功させるポイント
ガレージのリフォームを成功させるためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、リフォームを行う上でチェックしておくべきポイントをご紹介します。
愛車のサイズの把握
「リフォームをしてみたらガレージと車のサイズが合わなかった」ということのないよう、事前に愛車のサイズを確認しておきましょう。
財団法人「駐車場整備推進機構」によると、戸建住宅で車1台あたりの駐車に必要なスペースは、軽自動車で長さ4メートル×幅2.2メートル、小型自動車で5メートル×2.6メートル、大型の普通自動車で5.9メートル×2.9メートルとなっています。ただし、これらは最低限必要なスペースという意味なので、実際にはもう少しゆとりを持たせたほうが良いでしょう。もちろん、車を数台置く場合は増築する必要があります。
ガレージの位置
赤ちゃんや子供がいる部屋とガレージはなるべく離したほうが良いでしょう。夜遅い時間に車で帰宅したとき、シャッターの開閉音や車のエンジン音などで子どもを起こしてしまう可能性があるためです。
前面道路からの出入り
ガレージの前面道路の幅によって、車庫入れのしやすさは変わります。もし前面道路に十分な幅がない場合は、代わりにガレージの幅を広くすると車庫入れがスムーズにできるようになります。
デザイン・機能
デザイン面ではガレージの床や壁、屋根のデザインが住宅とマッチするよう、全体のバランスを考えることが大切です。シャッターの色にしても、オーソドックスなナチュラルシルバーから、木造住宅にマッチしやすい木目調までさまざまな種類があります。
機能面については、例えばカーポートの屋根材をクリアマットにすると、自然光をよく通すため、暗くなりがちなカーポートの下を明るくすることができます。ただ、夏場に車内の温度が高くなるのが気になるという人は、熱線遮断ポリカーボネートを屋根材に使うと良いでしょう。床材についても、「インターロッキング」という水はけの良いブロックにすると滑りにくくなります。
◉ガレージのリフォームで、快適なカーライフを実現!
ガレージは、ただの駐車スペースというだけでなく、風雨や紫外線から愛車を守ってくれる大切な場所です。さらに、ご家族の希望や都合に合わせてリフォームすることで、車から自宅への導線を最適化したり、防犯性やプライバシー性を高めることができて、カーライフがより豊かなで快適なものになるでしょう。
防犯対策
愛車を盗難や車上荒らしから守るために、防犯対策を取ることをおすすめします。泥棒は光と音を嫌います。外からの侵入者をセンサーで感知し、警報音や光を発するタイプの防犯装置を設置すると良いでしょう。